018 02年11月16日 『沈黙の春』を読んで
 読書の秋、ということでレイチェル=カーソン著『沈黙の春』(1962)を読みました。
 『沈黙の春』は1950年代のアメリカで、殺虫剤や除草剤などの化学薬品が 頻繁に利用されるようになり、それらが自然や人間に与える(与えた)影響について 書かれている実話です。現代では化学薬品が身の回りどこにでも存在していますが、 『沈黙の春』はそんな化学薬品の恐ろしさを確かなデータをもとに語られています。

 読んでいて驚かされるのは、40年ほど前に書かれた物なのに今の時代でも決して古くない 内容であるということです。どういう意味かと言うと、40年前に騒がれた化学薬品 の脅威は40年経った今でも解決されていないということです。中にはDDTなど今では 使用が禁止されている物質もありますが、とは言っても今の時代から完全に消滅した訳ではなく 土壌中には今なお残留している所があり、人類を含む自然界に影響を与え続けているのは確かです。

 ベトナム戦争で一躍有名になった物質と言えば、ダイオキシインですが、ダイオキシンは 「2-4-5-T」と呼ばれる除草剤に副産物として含まれた物質です。私は「2-4-5-T」という 除草剤に偶然、猛毒のダイオキシンが含まれていたのであって、使用したアメリカは悪気が あって多数の奇形児産出などの被害を及ぼしたのではなかったというような感じで記憶して いましたが、本当はそうではなかったんですね。
 ベトナム戦争は一般には、1950年代末に始まり、75年に終結しています。『沈黙の春』は 1950年代に起こった化学薬品の脅威について書かれてた1962年初版の本です。 その『沈黙の春』の中ですでに「2-4-5-T」のもつ生殖毒性(生物の生殖機能に害を与える毒性) について触れており、すでに除草剤「2-4-5-T」の危険性が認められていたのです。

 また、今では環境ホルモン(後天性内分泌攪乱性物質)が騒がれていますが、実は40年前から 人類は気付いていたのです。それなのにどうして、今なお解決されていないのか疑問に思いました。
 他にも農薬やゴルフ場の除草剤など解決されていないことが多々あります。化学薬品の脅威は 解決されるどころか増えているのではないかと思います。『沈黙の春』に化学薬品と癌(がん)の 関係について記述されています。それは「化学薬品の影響で癌が発生しているのではないか」と いうことですが、私は全くその通りではないかと思います。「癌患者が増えている=化学薬品の 脅威は増している」と考えられるのではないでしょうか。また「治療方法や治療薬の研究開発に 時間やお金を費やすよりも、発生要因、原因物質の排除を重要視するべきだ」と訴えていますが、 私も同感です。

 この他にも、この一冊の本から多く学ぶことがありました。40年前の本とは思えないくらい 現代でも十分に通じる内容です。過去どころか未来を語っているのではないかと思えてくるほど、 化学薬品に溢れた現代に訴えかけるものは多くありました。今日、環境という文字は色々な所で 目にしますが、特別に環境保全を任された人など1人もいないのです。環境を守り改善していく 責任は地球上の人類みんなが負っているのです。環境に興味ある人に限らず、ない人も興味を持つ きっかけとして、レイチェル=カーソンの『沈黙の春』を読むことをお奨めします。
 書かれている内容は決して古くはなく、過大表現でもありません。恐らく呼んだ人は目に見えない 毒物の脅威に気付かされることでしょう。


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